序文ポリイミド・芳香族系高分子最近の進歩中日先端芳香族高分子会議録韓日ポリイミド会議要旨集検索HOME
序文
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巻頭言
今井 淑夫
東京工業大学
名誉教授
序文1
横田 力男
宇宙機構
宇宙科学研究所
序文2
柿本 雅明
東京工業大学大学院工学研究科
有機・高分子物質専攻


「ポリイミド最近の進歩」DVD版の刊行に際して

東京工業大学名誉教授
今井 淑夫

 この度「ポリイミド最近の進歩」DVD版が刊行されることになりました。
私たちのポリイミド研究会が発足してから20年間の活動を総括した記念出版です。

 それではまず「ポリイミド研究会」が何なのかについて、記します。
今から20年前の1992年に、高分子学会ミクロシンポジウム「芳香族ポリイミドの化学構造と高次構造制御」が、元東京大学宇宙航空研究所の神戸博太郎教授・三田達教授研究室門下の横田力男先生(宇宙科学研究所)たちによって開催されました。
この領域の最新の研究について議論や情報の交換が行われて、大変有意義な会合でした。
その折に、発展の著しいポリイミドとその関連する芳香族系高分子材料の研究の情報の交換の場として、またこれに関心のある研究者・技術者間の交流の場として、この種の会合を毎年継続して開催してはどうか、ということになり、以下のことが決められました。
 この会合の母体を「ポリイミド研究会」(任意団体)と呼び、東京大学・宇宙科学研究所側と東京工業大学今井・柿本研究室で交互に会合の世話をすること、この団体には関心を持つ人が誰でも加わることができ、会費は無料であること、この会合の会議録を「ポリイミド最近の進歩」として、毎年継続して発行することなどです。
 こうして「日本ポリイミド研究会」は、1992年の会合を「第1回ポリイミド会議」とし、
それ以来毎年開催し、その時の会議録を「ポリイミド最近の進歩○○年版」として刊行してきました。
その後2003年には、この研究会がそれまで実質的にポリイミドとその関連する芳香族系高分子材料を対象としてきたことを踏まえて、団体名を「日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会」と明文化し、会合名と会議録も同様に変えて現在に至っています。
なお、この会合は原則として東京近郊で行われてきましたが、時には地方の豊橋技術科学大学(1998年)、岩手大学(盛岡市2003年)、大津市(2005年)で開催されました。
 次に、ポリイミド研究会のこれ以外の活動について触れます。
一つは、この研究分野の日本と外国(特に中国)の研究者との交流です。
日本と中国の間の交流が「日中先端芳香族高分子セミナー」として、1996年からほぼ2年に一度、主として中国で開催されてきました。上海(1996年)、桂林(1998年)、成都(2000年)、東京(2001年)、長春(2002年)、杭州(2004年)、東京(2006年)、西安(2008年)、蘇州(2010年)です、
なお、2006年の東京の第7回日中セミナーは、韓国の研究者を招いて拡大会議として開催されました。なお、この日中セミナーでは、毎回「日中先端芳香族高分子セミナー予稿集」が作られ、これを元にしてセミナーが行われてきました。
 もう一つは、この研究会としての活動10年目の2002年に、総力を結集して「最新ポリイミド・基礎と応用」という書物が刊行されたことです。この書物は、その後中国で翻訳版が出版され、好評を得ています。
次いで2010年に「新訂最新ポリイミド・基礎と応用」が刊行されました。これにはまさに最新の情報が網羅されています。

 さて、本題に戻りますが、この度の「ポリイミド最近の進歩」DVD版には、日本国内で行われたポリイミド会議の会議録「ポリイミド最近の進歩○○年版」と、日本と中国の交流の際の「日中先端芳香族高分子セミナー予稿集」という二つの書物がすべて収録されています。まさにポリイミド研究会20年の活動の総集編です。
 この元になる「ポリイミド最近の進歩○○年版」は、1993年以来毎年刊行されてきましたが、発行部数が少ないために、その散逸が心配されるようになりました。
一方、この新しいDVD版の価値についてみますと、これを通覧することにより、この領域の研究が着実に進歩していることを確かめることができるという利点があります。
しかし、一個人で今までの全部を通覧することはなかなか困難でありましたが、それが一枚のDVDだけで叶うことになります。
 また、「第○回日中先端芳香族高分子セミナー予稿集」は、中国の1996年から現在に至るまでのこの分野の研究の流れを知ることができる非常に貴重な資料であると、言えます。
中国のこの研究分野の生の情報がこの一枚のDVDから得られることになります。
 是非ともこの「ポリイミド最近の進歩」DVD版の活用をお願いしたいと思います。
 最後になりましたが「日本ポリイミド・芳香族系高分子研究会」が発足以来20年の長きにわたって活動を続けてこれらましたのは、ひとえに横田力男先生と柿本雅明先生の情熱の賜物であり、お二人の献身的な努力に深謝したいと思います。もちろん大方のご支援があっての上です。
今後この研究会の継続と発展を強く願いつつ、筆をおきます。

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